【くま子の冒険 86】

2007-12-09(Sun)
8月28日
 今日も朝から走っていたら前方にすごいものが見えてきた。
 岩を積み上げて作った城壁みたいな感じのもの。
 遠目にはわからないけど、高さも幅も相当あるんじゃないかな。
 人間が作ったのか魔物が作ったのかはわからないけど、とにかく巨大な建造物だよ。
 あそこにアウカイアがいるのかな~?
 そして南の方角には、黒い雲に覆われた山が見える。
 空は晴れてるのに、その山の周りにだけ雲があるってのが変な感じ。
 もしかして魔界への入り口があるという箱根山なのかな。
 こわいよ~。
 でも、このまま進めば箱根山に近づくことはなさそうだね。
 む、魔物のニオイがしてきたぞ。
 岩陰に隠れるようにしながら前進し続けると、魔物が5匹、周囲を警戒するようにうろついているのを発見。
 一番弱いランクの魔物だとは思うけど、敵の本拠地に近い場所だし油断はできない。
 とりあえず石をぶつけてみよう。
 足元に転がっていた握り拳二つ分くらいの石を投げつけると、魔物の側頭部に直撃。
 魔物は倒れて動かなくなった。
 それに気付いた残りの魔物は岩陰に隠れるようにして周囲を伺っている。
 ボクの居場所はまだばれてないみたいだね。
 このまま残り4匹も石をぶつけてやっつけちゃおう。
 と、思ったら魔物のニオイが強くなってきたぞ。
 げげっ。
 ボクを包囲するように魔物の増援が出てきたっ。
 くそ~、罠だったのかっ。
 こうなったら正面突破だっ。
 いくら弱い魔物といっても一対多の状況、森の中と違って遮蔽物も無いし、けっこう厳しい。
 でも天才的なボクの戦略で魔物を3匹ほど蹴り倒すと魔物たちは勝てないと悟って逃走していく。
 怪我というほどの怪我はしなかったけど、服を破かれたよ~。
 研究所に帰ったら、新しい服を買ってもらわなくちゃ。
 で、今日中に巨大な建造物にたどりつくのは無理だったけど、かなり近づけた感じ。
 遠めで見たよりもかなり大きくて高さは駅前にある20階建てのビルくらいはあるね。
 垂直な壁ってわけじゃないけど登るとしたら結構大変そうだよ。
 通り抜けられる道があるのかな。
 もしかして、そこにアウカイアがいるのかも。
 いよいよ明日はアウカイアと直接対決なのかなぁ。
 ちょっと不安になってきたなぁ。
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【くま子の冒険 85】

2007-12-05(Wed)
8月27日
 今日は前進基地のあったところを越えて、さらに前進。
 イハカハルを見つけた魔物臭い岩場までたどりついた。
 ここから先は地面が岩場になってる部分が多くて木々の数も減っている。
 身を隠す場所が減るからちょっと危険かも。
 でも、イハカハルをやっつけたこともあって魔物の姿は見当たらない。
 カンディルマの村からはかなり離れてると思うんだけど、もっと遠くまで逃げたってことなのかな。相当、臆病な魔物たちだなぁ。
 ま、そのお陰で安心して休めるんだけど。
 昨日、今日と全力で走り続けてきたからかなり疲れがたまってる感じ。
 今、魔物と出くわしたらちょっとピンチかも。
 梨井神製菓のチョコがまだダンボール6箱分も残ってるから、がつがつ食べて体力を回復させなきゃ。
 ん~、チョコうまい~。
 ここしばらくはカンディルマの村人が作ってくれた謎の料理を食べてたんだけど、おいしいとは言い難かったからね。
 ボクの住んでた村の食事が不味かったおかげで、カンディルマの料理もそれほどひどいとは思わなかったけど、街に住んでる人が食べたらウゲッてなるかも。
 塩が貴重品って感じの場所だから仕方ないんだろうけど。
 それはともかく明日からは、まだ行ったことの無い場所だし、アウカイアの本拠地も近いらしいし、注意して進まないとね。
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【くま子の冒険 84】

2007-12-02(Sun)
8月26日
 昨晩は、ジュガラッザが気を失うまで責めまくってから村を脱出。
 その後、徹夜で走り続けたせいで、お昼近くになってくると視界がぐるぐるな感じ。
 眠い、眠いけど、この辺りの魔物は昼間に行動するから昼間に寝るのは危険!
 イハカハルをやっつけたことで、このあたりに潜んでいる魔物の数は減ったけど、魔物は他にもいるからね。
 それにしても、ボクは何回この道を通ってるんだろう。
 今回が最後になるといいんだけど。
 ジュガラッザや大怪我をしたマタドゥドゥのことは心配だけど、ずっと一緒にいてあげることはできないし。
 今まではボクがいなくても大丈夫だったんだから、これからもボクがいなくても大丈夫なはず。
 それにボクも博士たちに心配かけてるわけだから早く戻らないといけない。
 そもそもワールドウェポンエキスポに出展する為に雷神の腕を探しに来たわけだから、それまでに戻らないとこの旅は無意味なものになっちゃう。
 ワールドウェポンエキスポは、9月上旬に行われるらしいから本気で急がないとまずい感じになってきた。
 でも眠い。
 今日はもう寝たいけど、前進基地のあったところまでは行きたいっ。
 寝ながら走れる技があればいいのに……。
 ぶはっ。
 痛~っ。
 木に激突しちゃったよ。
 こんな情けない姿を誰かに見られなくて良かった……。
 でも、ちょっと目が覚めた。
 これでもう少し走り続けられるよ。
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【くま子の冒険 83】

2007-11-28(Wed)
8月25日
 今日は朝から会議。
 内容はヘルトサングと合併するか否か。
 村人が生き残る為には、ヘルトサングと合併するしかないと思うんだけど、ジュガラッザは頑なに反対している。
 ヘルトサングとの合併は、ジュガラッザがエニエスの嫁になることを意味しているし、合併というよりはヘルトサングに吸収されるようなものだから事実上カンディルマは消滅することになる。ジュガラッザにとっては選択したくない道だよね。
「そんなにカンディルマの名前が大事なのかよ! だったら俺たちは出て行く。命のほうが大切だからな!」
 結局、若者4人がカンディルマからの離脱を表明して去っていった。
 カンディルマに残る村人は10人にも満たなくなってしまった。
「クマコは、残ってくれるのだろう?」
「悪いけど、無理だよ」
「何故なのだ? クマコと私は深く愛し合っているではないか!」
「そりゃあ、ジュガラッザのことは好きだけど、ボクにも帰る場所があるし~」
「クマコの帰る場所は此処なのだ!」
「そんなこと勝手に決められてもさ~」
「言うことを聞かぬなら、ここから離れられない体にしてやるのだ」
 ジュガラッザは、薬が入っているらしい瓶を手にする。
「待った待った! 毒だったらどうするのさっ」
「これは曾婆様の作った媚薬なのだ。これを飲んだ男はたちまち女に夢中になるのだ」
「ボクは女なんだけど……」
「……無念なのだ……女を誑かす薬は爺様が使い切ってしまったのだ……」
 ありがとう、爺さん。
「その薬はもう作れないの?」
「材料となる木の実は、赤い山に登らなければならぬのだ。この村にそこまで行ける者はいないのだ」
 赤い山っていうと麓にゴリラ系の魔物がいるからな~。
 魔法を使う奴までいるし、アウカイアの魔物なんかよりよっぽど手強い魔物だもんな~。
 そういえば、桃美さんはどうしてるんだろう。
 ボクってばちょっと道草しすぎじゃない?
 しかも近隣の村にも勇者とか言われるくらいまで目立っちゃってるし。
 そんな話が桃美さんの耳に入ったら、間違いなく居場所がばれるよ!
 やばい~。
 アウカイアよりゴリラ系魔物より桃美さんのほうがこわいからな~。
 今夜、ジュガラッザをたっぷりと可愛がったら夜逃げしよう。
 アウカイアをやっつけちゃえばカンディルマも少しは平和になるはずだし、ボクに残された道はそれしかない。
 アウカイアをやっつけて東都へ行くぞっ!
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【くま子の冒険 82】

2007-11-25(Sun)
8月24日
 今日は朝から蒸し暑い。
 と思っていたら雨が降り出してきた。
 かなり強い雨で雨音がうるさすぎて、大声を出さないと会話ができないほど。
 視界も悪いし、ちょっとやばくない?
 とにかくボクらはバリケードに待機して魔物の襲来を待つ。
 ヘルトサングからの応援も駆けつけてきて総勢で50人くらいにはなったけど、明らかに人数的に不利な状況。
 それから30分もしないうちに雨音に混じって不気味な地鳴りのような音が聞こえてきた。
 そして木々の間から魔物たちが雄叫びを上げて突進してくる。
 こちらは攻撃開始の合図が出て、毒を仕込んだ矢が次々と放たれる。
 何本か魔物に当たってるけど、魔物は平然とこっちに向かってくるよ?
 毒は効いてない?
 と、思ったら矢を受けた魔物は急にひっくり返って股間をこすり始めた。
 何だこれ。魔物が1人エッチを始めたよ……。
 ジュガラッザ、毒薬と媚薬を間違えたっぽいね。
 このシリアスな状況にはあり得ないドジっ子ぶりだっ。
 ま、敵の動きを止めることはできてるわけだから効果がまったく無いってことでもないし、結果オーライってことなのかな。
 それでも全ての魔物に矢を当てられるわけもなく、はやくもバリケードの前に魔物たちが群がり始める。
 バリケードを乗り越えようとする魔物たちを、もぐら叩きの要領で蹴り飛ばして何とか侵攻を食い止めてるけど、範囲が広すぎてボク一人の手には負えない。
 バリケードを突破されるのは時間の問題って感じで、ここを守り続けるのは無理っぽい。
 これは早いうちに敵のリーダーを見つけて倒すとかしないと本当にカンディルマが全滅しかねないよ。
 この場を離れるのは心配だけど、敵陣に突っ込んでいけるのはボクしかいないし……。
 みんな無事でいてよっ。
 村人から借りた長めの木の棒で敵を牽制しつつ、高飛び棒のように使ったりして敵陣の奥に進む。
 ざっと見、前進基地で戦ったちょっと強い魔物がまばらにいるくらいで、ほとんどが雑魚レベルの魔物。
 イハカハルらしき奴はいない。
 もっと後ろのほうにいるのかな?
 それにしても、こんなに魔物がうじゃうじゃいると気持ち悪くなってくるよ。
 魔境は魔物の住処だから魔物がいるのは仕方ないけど、こんなに集まってこなくてもいいのに。
 で、30分くらい敵陣を駆け回ったんだけどイハカハルを見つけることができなかった。
 もしかしてイハカハルは来てないのかな。
 ちょっと強いレベルの魔物に指揮をとらせてるのかもしれない。
 そうなると見つけ出すのは難しいぞっ。
 これ以上みんなのところから離れているのは心配だし戻ったほうがいいな。
 バリケードのところまで戻ってきたら、バリケードが突破されてる?!
 村人は、大木の根元のあたりまで後退していてヘルトサングの人たちが何とか持ちこたえている感じ。
 カンディルマの人はいない?!
 ぎゃっ! 何かいる!
 骸骨の首飾りをした魔物……イハカハルだ!
 鎧を着た魔物も5匹くらいいる。
 魔物に裏をかかれるなんてムカツク!
 八つ当たりの一撃を鎧を着た魔物の後頭部に決めると、そいつは5メートルくらい先の地面に叩きつけられて動かなくなった。
 意外に弱いじゃん。
 残りの鎧を着た魔物が一斉に襲いかかってきたけど、コンビネーションも何もない感じで隙だらけ。あっと言う間に片付けちゃった。
「さすが勇者殿!」
「ジュガラッザは?」
「樹の上に退避させました」
 良かった。ジュガラッザは無事みたい。
 後はイハカハルをやっつけるだけだ。
 イハカハルも、まずはボクを倒すのが先決と考えたらしく村人を攻撃するのを止めてこっちに襲いかかってきた。
 さすがにパワーもスピードも雑魚とは段違い。しかも動きに無駄が無い。
 でも、思ったほど強くも無くてボクの攻撃は確実にヒットしている。
 ただイハカハルは、蹴っても殴っても倒れない。
 今までの魔物とは比べ物にならないくらい頑丈だよ。
 あまり使いたくないけど蔵王術を使うしかないかな。
 いくぞっ、蔵王拳・銅(あかがね)!
 ………………。
 うわーん、不発だぁ。
 皆が見てるから調子が狂っちゃうんだよ~。
「勇者殿、これを!」
 エニエスが、ボクの近くに剣を放り投げてくれた。
 剣は使ったことないけど、パンチやキックよりはダメージを与えられるかな。
 イハカハルの攻撃を避けつつ攻撃のチャンスを伺う。
 う~ん、間合いが良くわからないな。
 とり合えずブスっといっちゃおう。
 でや~っ!
 イハカハルがパンチを空振りした瞬間、ボクはイハカハルの喉元に剣を突き刺した。
 思い切りやりすぎて剣が首を貫通しちゃって痛そう~。
 イハカハルは突き刺さった剣を抜こうと必死で暴れていたけど、ついに倒れて動かなくなった。
 イハカハルが倒れたのを見て、他の魔物は一斉に逃げ出していく。
 くま子ちゃん勝った! すごい!
「一撃で仕留めるとは、さすが勇者殿!」
「クマコ! どうして勝手な行動をしたのだ! マタドゥドゥが、マタドゥドゥが……」
「えっ?!」
 マタドゥドゥは背中に深い傷を負っていた。
 マタドゥドゥ以外にもほとんどの村人が怪我を負い、そしてほとんどの村人がいなくなっていた。
「ジュガラッザ、勇者殿を責めるのは間違いです。イハカハルは勇者殿が陣から離れるのを待っていた。勇者殿がここを離れなければイハカハルは現れず、消耗戦になっていたでしょう」
「そうだ! 村を守って戦うなんて言ったオマエが間違ってたんだよ! ドゥトゥスミもアディンギラブもルッメイサも死んじまった! 弱い奴を守れってオマエの命令に従ったせいだぜ! 弱い奴らばかり生き残って、これからどうすりゃいいんだよ! 全滅したも同じじゃないか!」
 ジュガラッザと反目していた若者がジュガラッザを責め立てる。
 若者の言うとおり、カンディルマで生き残ったのは戦闘経験の少なそうな若者たちが10人程。
 今後、魔物の襲撃があったら全滅する可能性が高い。
「イハカハルが死んだのです。魔物もカンディルマを襲撃することはなくなるでしょう」
「イスケヘフを倒したからこんなことになったんだぜ! イハカハルを倒したら魔物の連中はまた報復に来るさ! カンディルマはもうおしまいなんだよ!」
 若者の意見があまりに正論すぎて誰も反論できない感じ。
 ジュガラッザは泣き出してしまった。
「カンディルマには、勇者殿がいるではありませんか」
「でも旅人だろ。いつまでも村にいるわけじゃあるまいし」
「クマコは、ずっと村にいるのだ! もう離れないのだ!」
「そ、そういうわけには……」
 う~ん、困った状況だ……。
 とりあえず話し合いは後にして、怪我人の手当てや遺体の埋葬が行われた。
 遺体のほとんどは魔物に持ち去られてしまっていたけど……。
 結局、ボク1人では村を守りきるなんてできなかったな。
 がっかりだよ。
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